
25年度暗号資産証拠金取引金額、3年ぶりに現物上回る25兆円
2026-10-26
JVCEA年間レポート、現物口座数は1,411万に
日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)が9月30日に公表した2025年度(25年4月~26年3月)の年間報告によると、国内の暗号資産証拠金取引金額は24兆9,092億円と、3年ぶりに現物(20兆6,692億円)の取引金額を上回った。現物ではビットコイン(BTC)の取引割合が61.5%(24年度は68.2%)と減少する一方でイーサリアム(ETH)が19.3%(同11.3%)に伸びたが、証拠金ではBTCが89.9%(同83.7%)と9割近くまでシェアを伸ばしている。制度整備も進み、7月には暗号資産を金融商品取引法の規制下に移す改正法が成立し、28年にも申告分離課税やETFが始まる見通しだ。
25年度の現物取引高は20兆6,692億円(前年度比0.2%増)と横ばいだった。ビットコイン(BTC)の参考価格は25年10月に約1,883万円の最高値を付けたが、年度末は約1,060万円まで下げ、預かり資産は3兆1,491億円と13%減った。
26年度に入り減速は鮮明になった。月次統計を集計すると、4~8月の現物取引高は3兆8,961億円で、前年同期(8兆7,953億円)を56%下回る。利用者預託金残高も8月末で3兆5,111億円と、ピークの25年7月末(5兆3,556億円)から3割強減った。
集計対象の会員は32社。ビットポイントジャパンが26年4月にSBI VCトレードと合併した一方、SBI証券やDMM.com証券が25年度の集計対象に加わり、証券会社の存在感が増している。販売所のスプレッドはBTCで0.54~12.85%と、取引所手数料(0~0.08%)との開きが大きい。改正法は最良執行方針の公表や責任準備金の積み立て、自己資本規制比率の算出を求めており、収益が細る中での体制整備は中小業者の再編を促す可能性がある。
稼働880万口座、86%は10万円未満
25年度末の設定口座は1,411万口座(15%増)、稼働口座は880万口座(17%増)で、稼働率は62.35%に上がった。年間の入金・入庫額は10兆963億円と出金・出庫額(9兆7,865億円)を上回り、資金の流入超が続いている。
ただ稼働口座の85.75%は預かり資産が10万円未満で、この比率は21年度末の71.31%から毎年上昇している。預かり資産を稼働口座数で割った単純平均は約36万円(本紙試算)。1億円以上の口座は2,439にとどまる。
世代別では30代(27.49%)と40代(27.19%)が中心だが、50代は21年度末の14.39%から19.01%へ伸び、20代は19.71%から16.10%へ下がった。若年層の投機というより、中高年の少額投資という色合いが濃くなっている。
足元の口座増は鈍い。8月末の設定口座は1,447万口座で、3月末からの5カ月で35万口座増。月7万口座のペースは25年度(月約16万口座)の半分以下である。
決済手段から金融商品へ、取引所取引視野に制度整備進む
改正金商法等は4月10日に閣議決定され、7月15日に参院本会議で成立した。暗号資産の規制を資金決済法から金商法へ移し、有価証券とは別の金融商品と位置づける。交換業者は「暗号資産取引業者」となり、第一種金融商品取引業に相当する規制を受ける。インサイダー取引規制と課徴金制度が新設され、証券取引等監視委員会の犯則調査の対象にもなる。無登録業の罰則は10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(併科あり)に引き上げられた。暗号資産関連の規定は公布から1年以内に施行され、27年中の移行が見込まれている。
こうした動きに税制も連動する。3月成立の税制改正法で、登録業者が扱う暗号資産の現物・デリバティブ・投資信託の所得は20.315%の申告分離課税となり、3年間の損失繰越控除も認められる。適用は改正金商法の施行日の翌年1月1日からで、28年1月が有力視されるが、確定はしていない。
金融庁は28年までに投資信託法施行令を改正し、暗号資産を投信の投資対象に加える方針と報じられている。規制・税制・商品の3点が28年前後に出そろう公算だ。
25年度の証拠金取引高(想定元本ベース)は24兆9,092億円と58%増え、構成比54.65%で現物を逆転した。BTCが89.90%を占める。
ただし月次でみると、25年5月の1カ月だけで11兆6,704億円と年間の47%に達する。JVCEAは「一部会員の取引増加」と説明するにとどめている。5月を除く11カ月は13兆2,388億円、月平均約1兆2,000億円で、前年度の月平均(約1兆3,200億円)を下回る。26年4~8月は月平均約7,300億円まで落ち込んだ。
個人のレバレッジ上限は20年施行の改正金商法で2倍に下がった。その前後にあたる20年度の97兆3,640億円と比べ、市場はなお4分の1の規模だ。8月末の建玉残高は215億円と預託金残高の1%に満たず、短期売買が中心で持ち高を積み上げる市場にはなっていない。
改正法でも暗号資産デリバティブが第一種金商業の対象である点は変わらず、レバレッジ上限は下位法令の事項として今回は見直されていない。新経済連盟は9月11日、銘柄を問わない一律2倍の見直しを提言した。税制面では店頭の証拠金取引も分離課税の対象となる見込みで、総合課税という足かせが外れる。
取引所取引も世界的に制度構築が固まりつつある。米国では商品先物取引委員会(CFTC)が5月、BTCの永久先物を初めて認可した。国内のデリバティブは、店頭の証拠金取引一本から、取引所先物とETFを加えた複線構造へ移る可能性が高いといえるだろう。
(Futures Tribune 2026年10月6日発行・第3459号掲載)
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